不倫で相手の言いなりになり示談書にサインした。取消し・無効にできる? 

不倫相手の配偶者から言われるがままに示談書にサインしてしまったけど、無効にできる?

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はじめに

示談書とは、紛争となっている当事者間でその紛争を解決するために作成する和解の文書を言います。
示談は口頭で行うことも可能ですが、事後的に内容の認識の相違で争うこと等を防ぐため、書面を作成することが主流です。

示談は法律上の和解契約(民法695条、696条)に分類されるため、示談書は契約書としての効力を持ちます

本記事では、作成した示談書の有効性について解説いたします。

不貞の示談書に記載すべき内容

有効な示談書にはどのような記載が必要になるのか下記に紹介します。

  • 当事者双方の署名、住所、押印
  • 不貞があり、慰謝料を請求する旨
  • 慰謝料の金額や支払期日、方法
  • 示談書に合意した日付

このほか、ケースに応じて誓約事項や誓約事項に違反した場合の対処、守秘義務についてなど、必要な条項を追加することになります。

サインのある示談書は法的には原則有効

上記のとおり、示談書は契約書としての効力を持ちます。契約は一方が内容を提示し契約締結を申し入れ、もう一方がその申し入れを承諾した場合に成立します。つまり、契約の締結には双方の合意が必要になりますが、当事者双方の署名捺印があった場合には、双方の合意があったと判断されます。

示談書にあなたの署名や押印があれば、あなたがその示談書の内容を確認し了承したうえで、署名や押印をしたと考えられますので、たとえ不貞相手の配偶者の言いなりになって示談書にサインをしたという事情があったとしても、原則として、その示談書は法的に有効となります。

例外的に示談書が取消しや無効になる場合

原則として署名捺印のある示談書は法的に有効になりますが、例外的に取消しや無効になる場合もあります。
どのような場合に取消しや無効にすることができるのか解説いたします。

まず、不貞相手の配偶者の言動が威圧的であったため、冷静な判断ができず、示談書の内容をよく確認しないままサインをしてしまったケースや、示談書にサインをするまでは絶対に許さないなどと脅され、やむを得ずサインをしてしまったケースが挙げられます。 この場合は、錯誤(民法第95条)や強迫(民法第96条)を理由に、一度サインをした示談書が例外的に取消しとなる場合があります。

また、示談書に記載のある内容自体が極めて不合理である場合や、常識を逸脱した不当な内容となっている場合には、示談書自体が公序良俗違反(民法第90条)により無効となる可能性があります。例として、財産権を侵害するようなあまりにも高額な違約金設定がされていたり、退職を強制するなど、職業選択の自由を侵害する内容だったりと、権利を不当に侵害する内容である場合が挙げられます。

サインしてしまった示談書の取消しや無効を主張できるのかといった点については、判断に高度な法的知識を要するため、一般の方に判断いただくのが難しい事柄となりますので、弁護士にご相談いただくのが良いかと思います。

実際に取消しや無効にすることは可能か

ここまでご説明させていただいたとおり、署名捺印後の示談書を無効(取消し)にすることは絶対にできないというわけではありません。

裁判においては、示談書にあなたのサインがある場合、あなたがその示談書の内容を確認し了承した上で、自らの意思で署名や押印をしたと判断されてしまう可能性が高いです。

不倫慰謝料_書面

しかし、不貞相手の配偶者の極めて悪質な言動により、あなたに落ち度なく、無理やりサインをさせられてしまったというような事情を、客観的に証拠によって証明することができれば、一度サインをしてしまった示談書でも無効(取消し)にすることができる場合があります。

おわりに

示談書は契約書の効力を持つ重要な文書です。示談した当事者は示談書に定められた内容を遵守しなくてはなりません。もし一方が示談内容に違反した場合は、示談書の取り決めに基づいて対処されることとなります。

上記でご説明した通り、一度示談書にサインしてしまった場合でも、示談書を無効(取消し)にすることが認められるケースがあります。無効(取消し)にすることができるか否かの判断には専門的な知識が必要な場合もございますので、是非一度、当法律事務所までお問い合わせいただければと思います。

なお、現時点において示談書にサインをしてしまった場合であれば、上記のような対応にならざるを得ませんが、まだ示談書へのサインが完了していない場合や、不貞相手の配偶者から慰謝料の請求を受けたばかりであれば、早い段階で弁護士をつけることにより、ご自身にとって不利益な要素を減らすことができますので、お早めに弁護士までご相談いただくことをおすすめします。

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