痴漢・不同意わいせつ

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痴漢は何の罪が成立するか
Molestation

迷惑防止条例違反

痴漢

東京都の迷惑防止条例では、正当な理由なく、公共の場所や公共の乗物で衣服等の上からまたは直接に人の身体に触れる行為が禁止されており、これに違反し場合には、6ヶ月以下の懲役又は50万円以下の罰金が科される可能性があります。

(なお、迷惑防止条例違反は、犯罪行為が行われた場所の条例が適用されることになります)

暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為を行った場合には刑法違反として不同意わいせつ罪が成立します。

不同意わいせつ

※令和5年6月16日に性犯罪関係の法改正が成立し、7月13日から施行されました。

今までは、「強制わいせつ罪」という罪名でしたが、法改正により、「不同意わいせつ罪」という罪名に改められました。

また、準強制性交罪と準強制わいせつ罪はそれぞれ、不同意性交罪と不同意わいせつ罪に統合されました。

この点、衣服の上からにとどまらず、下着の中にまで手を入れるなどして人の身体に触れた場合など、痴漢としての行為態様が重い場合には、実際に暴行や脅迫行為を行っていなかったとしても、被害者の反抗を著しく困難にしたとして、刑法176条に規定されている不同意わいせつ罪が成立する可能性があり、これに違反した場合には、罰金刑はなく、6ヶ月以上10年以下の懲役刑が科される可能性があります。

なお、令和7年6月16日までには、懲役刑から6月以上10年以下の有期拘禁刑に改められるので、ご注意ください。

起訴になったら
99%の割合で有罪になり、前科がつく

強制わいせつ罪

手錠・逮捕

検察官としては、証拠から被疑者がほぼ確実に罪を犯したと判断できる場合に被疑者を起訴しているため、現在の日本の刑事裁判においては、統計上の数字とはいえ、起訴されてしまうと、99.9%の確率で有罪となってしまいます。

これに対し、不起訴(ふきそ)とは、起訴されないことを意味しますが、不起訴には①嫌疑なし②嫌疑不十分③起訴猶予の3種類が存在します。

この点、①嫌疑なしとは、被疑者が罪を犯したとは判断されなかった場合をいい、②嫌疑不十分とは、被疑者が罪を犯した疑いはあるも、決定的な証拠がない場合をいいます。

そして、③起訴猶予とは、被害者が罪を犯したことは明確であるものの、被疑者の反省や、示談の有無、行為の内容、再犯のおそれの有無などを考慮して、今回は起訴することが見送られたものをいいます。

不起訴になる確率は?

迷惑防止条例違反事件については不起訴率が公表されていないため、公表されている強制わいせつ罪についてみると(なお、統計には、痴漢事件以外の事件も含まれております)、不起訴率が66%であるのに対し、起訴率は33%となっています(2019年の検察統計年報)。

そのため、統計上の数字とはいえ、痴漢行為などによる強制わいせつ罪で検挙されてしまうと、約30%以上の可能性で起訴されてしまうことになります。

不同意わいせつ

刑法176条の規定の説明

不同意わいせつ罪については、旧刑法176条には、「13歳以上の者に対して、暴行または脅迫を用いてわいせつな行為をした者」に成立すると規定されていましたが、法改正がなされたことにより、処罰範囲を拡大されました。

これまで、性交同意年齢が13歳未満だったのが、「16歳未満」に引き上げられました(相手が13歳以上16歳未満の場合は、相手よりも5歳以上年長の者がわいせつな行為をしたときも不同意わいせつ罪が成立します)。

これは、16歳未満の場合は、暴行や脅迫を用いておらず、相手の同意があったとしても処罰の対象になるということを意味します。

不同意わいせつ罪が成立する要件

また、不同意わいせつ罪が成立するためには、以下の①~⑧のいずれかの事由を原因として同意しない意思を形成、表明又全うすることが困難な状態にさせること、あるいは相手方がそのような状態にあることに乗じることによって、性交等やわいせつな行為をすることが必要になります。

  • 暴行又は脅迫
  • 心身の障害
  • アルコール又は薬物の影響
  • 睡眠その他の意識不明瞭
  • 同意しない意思を形成、表明又は全うするいとまの不存在(例:不意打ち)
  • 予想と異なる事態との直面に起因する恐怖又は驚愕(例:フリーズ)
  • 虐待に起因する心理的反応(例:虐待による無力感・恐怖心)
  • 経済的又は社会的関係上の地位に基づく影響力による不利益の憂慮
    (例:上司・部下、教師・生徒など、上の立場の影響力によって不利益が生じると不安に思うこと)

また、わいせつな行為でないと誤信させたり、人違いをさせること、又は相手がそのような誤信をしていることに乗じることによって性交等やわいせつな行為をしても、不同意性交等罪や不同意わいせつ罪が成立することになります。

そして、法改正により、これまで、性交同意年齢が13歳未満だったのが、「16歳未満」に引き上げられました。(相手が13歳以上16歳未満の場合は、行為者が5歳以上年長のとき)

さらに、性交や肛門性交、口腔性交のほか、陰茎以外の身体の一部または、物を膣または、肛門へ挿入する行為も対象となったことに加え、婚姻関係の有無にかかわらず、処罰されることが明確化されました。

(法律婚・事実婚問わず、配偶者・パートナー間も成立します)

「わいせつな行為」とは

わいせつな行為とは、被害者の性的羞恥心を害する行為をいうと解されています。

具体的にどのような行為を指すのかというのはわからないと思われるでしょうが、簡単にいうと、普通の人であれば嫌がるような行為全般を指すと考えられています。

例えば、抱きつく、キス、胸や陰部を触るといった行為などが該当します。

「暴行又は脅迫」とは

「暴行又は脅迫」とは、被害者の反抗を著しく困難にする程度のものをいいます。

どの程度のものをいうのかすぐに思いつかないかもしれませんが、基本的には相手の同意がない場合は、ほとんどの暴行や脅迫がこれに該当すると考えてよいでしょう。

ただ、法改定により、暴行や脅迫がなくても、被害者が恐怖を感じ、体が硬直してしまい、抵抗することができなかった場合なども不同意わいせつ罪が成立するように、成立要件の範囲が拡がりました。

「故意」とは

不同意わいせつ罪が成立するには、当該行為が不同意わいせつ罪に該当するとの認識が必要になります。

そのため、相手が嫌がっていることや相手の同意がないことを認識して、わいせつな行為を行えば基本的に不同意わいせつ罪が成立することになります。

それでは、相手の同意があると勘違いしてしまった場合にも不同意わいせつ罪は成立するのでしょうか。

相手の同意があると誤解してしまってもやむを得ないといえるような事情を証明することができる場合には、不同意わいせつ罪が成立しないことがあります。

不起訴となるために必要なこと

この点、実際に痴漢・不同意わいせつを行ってしまった場合と、実際には痴漢・不同意わいせつを行っていない場合とで、不起訴獲得のための重要な要素には違いがでてきます。

起訴/不起訴を判断される際の要素

まず、実際に痴漢等を行ってしまった場合、下記等が重要な要素となってきます。

  • 自首の有無
  • 痴漢行為の態様
  • 示談の有無
  • 初犯か否か(前科の有無)
  • 余罪の有無

自首という選択肢

この点、初犯であり余罪がなかったとしても、行為態様や被害者の処罰感情等が重視され、起訴されてしまう可能性もあります。

不起訴獲得のためには、いち早く自首を試みるなどして反省の態度をしっかりと示した上で、被害の回復を図るため、被害者との示談を試みる必要があります。

自首は弁護士のサポートを受けた上で

この点、自首を試みたとしても、捜査機関が痴漢等を行ったという犯罪事実及び犯人を把握していない段階又は捜査機関が痴漢等を行ったという犯罪事実は把握しているものの犯人を把握していない段階でなければ、自首が成立しないことから、速やかに自首を行う必要があります。

もっとも、自首を試みたものの、捜査機関が適切な対応をしない場合もあり、かつ、自首を試みたその日に取調べを受けることになるため、弁護士のサポートの上、自首を行うのが安心です。

弁護士のサポートを受け、
速やかな示談を

刑事事件弁護

また、痴漢等の被害者に示談金を支払うことで、被害が一定程度回復されたと考えられ、重い処分が下される可能性が低くなり、不起訴の可能性が高まります。

そのため、いち早く痴漢等の被害者と示談を行う必要がありますが、捜査機関等からの指示により、痴漢の被害者と接触すること自体が禁止されてしまうため、弁護士に依頼をした上で、痴漢の被害者との間で示談を成立させる必要があります。

これに対し、実際に痴漢等を行っていない場合には、弁護士のサポートのもと、捜査機関に自己に不利な供述調書等を作成されないよう、否認・黙秘を貫いていく必要があります。

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着手金:
20万円(税込22万円)

注意事項
  • 自白事件(罪を認めている事件)でも否認事件(罪を認めていない事件)でも、身柄事件(逮捕などの身柄拘束がされている事件)でも在宅事件(逮捕などの身柄拘束がされていない事件)でも、着手金は変わらず原則として一律20万円(税込22万円)になります。
  • 複数の事件で疑いをかけられている場合や多数の被害者が存在する場合、被害額が多額である場合、難解な事件である場合など複雑又は特殊な事情がある場合には、ご依頼者様との協議により金額を決定させていただく場合もあります。
  • 仮に起訴され刑事裁判になった場合には刑事裁判(第一審)が終了した時点でご依頼は一旦終了となるため、その後、控訴や上告をする場合には改めて着手金をいただくことになり、金額は事案に応じて協議により決定させていただきます。
  • 裁判員裁判対象事件についてご依頼をいただく場合には着手金は原則として50万円(税込55万円)になります。
  • 裁判員裁判対象事件としてご依頼をいただいた後に容疑・罪名が変更になったことに伴い裁判員裁判対象事件ではなくなった場合等においても、事件終結まで裁判員裁判対象事件として扱うことになります。

報酬金:
不起訴等:40万円(税込44万円)

注意事項
  • 「不起訴等」には、自白事件(罪を認めている事件)においては微罪処分(警察が検察官に事件を送致せずに刑事手続を終了させる処分)となった場合や告訴・被害届の提出がなされずに解決した場合も含み、否認事件(罪を認めていない事件)においては捜査機関による容疑が解かれた場合や身柄拘束の末に処分保留により釈放となった場合も含みます。
  • 「略式起訴」とは、簡単にいえば、刑事裁判にかけずに罰金刑にして刑事手続を終了させる制度です。
  • 「再度の執行猶予」とは、執行猶予期間中に再び犯罪を犯してしまったにもかかわらず再び執行猶予が付された場合をいい、非常に例外的なケースです。
  • 複数の事件がある場合には、複数の事件の結果の中で最も報酬金が高い結果となった事件を基準に報酬金を決定します(例:A事件で不起訴となり、B事件で無罪判決を獲得した場合には、報酬金は無罪判決の80万円(税込88万円)となります)。
  • 控訴や上告をした場合には、報酬金は最終審の結果に基づきお支払いいただくことになります。
  • 裁判員裁判対象事件についてご依頼をいただく場合には上記報酬金は全て20万円(税込22万円)が上乗せになります。
  • 裁判員裁判対象事件としてご依頼をいただいた後に容疑・罪名が変更になったことに伴い裁判員裁判対象事件ではなくなった場合等においても、事件終結まで裁判員裁判対象事件として扱うことになります。
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