傷害罪とは

なお、2025年6月1日に施行された刑法改正により、従来の「懲役刑」と「禁錮刑」は廃止され、新たに「拘禁刑」に一本化されました。これにより、今後、傷害罪で実刑判決 を受けた場合には、「懲役○年」ではなく「拘禁刑○年」という形で言い渡されることになります。

拘禁刑は、単に刑務作業を課すだけではなく、受刑者の更生や再犯防止を重視した制度となっており、受刑者の特性に応じた指導・教育が行われる点が大きな特徴です。もっとも、刑罰であることに変わりはなく、前科として扱われる点も従来と同様です。 ここでいう「傷害」とは、単なる切り傷や打撲などに限られず、「人の生理機能に障害を与えること」を意味します。
そのため、以下のようなケースでも傷害罪が成立する可能性があります。
- 相手を殴って骨折や打撲を負わせた
- 首を絞めて失神させた
- 性感染症を感染させた
- 強い暴行や脅迫によりPTSDやうつ病を発症させた
- 睡眠障害や適応障害を発症させた
実際には、精神的ショックによる精神疾患についても、医師の診断書などによって因果関係が認められれば、傷害罪として扱われることがあります。
一方で、暴行を加えても生理機能に障害が生じていない場合には、傷害罪ではなく暴行罪に留まることがあります。例えば、髪の毛を切る、胸ぐらを掴む、突き飛ばすなどの行為で怪我が発生していない場合です。
もっとも、当初は暴行事件として扱われていても、その後に診断書が提出されて傷害事件へ切り替わることは少なくありません。そのため、「軽く押しただけだから大丈夫」と安易に考えるのは危険です。
傷害事件で逮捕される可能性
傷害罪で逮捕されることは珍しくない
「初犯だから逮捕されない」
「相手の怪我が軽いから大丈夫」
「酔っていて覚えていないから仕方ない」



このように考える方は少なくありません。
しかし、傷害事件は実際には逮捕に至るケースが非常に多い犯罪類型です。
なぜなら、傷害事件はその場で被害者・加害者が対面していることがほとんどであり、犯人の特定が容易だからです。また、飲食店、駅、路上、職場など、人目のある場所で発生することも多く、防犯カメラや目撃証言が残りやすい特徴があります。
そのため、警察は比較的早い段階で被疑者を特定でき、逮捕に踏み切るケースが少なくありません。
特に近年では、防犯カメラ映像、ドライブレコーダー、SNS投稿などのデジタル証拠が重視される傾向にあり、「その場から立ち去ったから大丈夫」という考えは通用しにくくなっています。
逮捕の種類
傷害事件では、最も多いのが現行犯逮捕です。犯行の最中や直後に警察官が駆け付けた場合、その場で逮捕されることがあります。
これは、犯行直後で誤認逮捕の危険が比較的低いと考えられているためです。
以下のようなケースでは、現行犯逮捕の可能性が高くなります。
- 居酒屋での喧嘩
- 路上トラブル
- DV・家庭内暴力
- スポーツ観戦中の暴行
- クラブやバーでのトラブル
特に、酒に酔った状態での暴力行為は、本人に記憶が曖昧でも現行犯逮捕されるケースが多く見られます。
現行犯逮捕されなかったとしても、後日逮捕される可能性があります。
例えば、
- 被害届が提出された
- 診断書が警察に提出された
- 防犯カメラ映像が確認された
- SNSに犯行動画が投稿された
- 目撃者の供述が得られた
といった事情がある場合、警察は捜査を進め、裁判所から逮捕状を取得した上で通常逮捕を行います。この場合、ある日突然、自宅や職場に警察が来ることもあります。 実際には、数日後、数週間後、数か月後、半年以上後に逮捕されるケースも存在します。
そのため、「今まで警察から連絡がないから大丈夫」とは言えません
傷害事件で逮捕されやすいケース
被害結果が重大な場合
以下のように怪我の程度が重い場合には、逮捕の可能性が高まります。
- 骨折
- 歯が折れた
- 顔面を負傷した
- 長期間の通院が必要
- 後遺症が残った
- ナイフや凶器を使用した
特に、顔面への暴行は悪質性が高いと判断されやすい傾向があります。
常習性・悪質性がある場合
以下のような事情がある場合には、警察や検察から「再犯のおそれ」が高いと判断されやすくなります。
- 過去にも暴力事件を起こしている
- 被害者を繰り返し暴行している
- DVやモラハラが継続している
- 一方的な暴行である
- 凶器を準備していた
このようなケースでは、被害者保護の観点からも逮捕の必要性が高いと判断されやすいでしょう。
被害者と接触する可能性がある場合
逮捕の大きな理由の一つが、「証拠隠滅のおそれ」です。
例えば、
- 被害者に連絡している
- 「被害届を出さないでほしい」と頼んでいる
- 口裏合わせをしている
- 示談を強引に迫っている
といった事情がある場合には、証拠隠滅のおそれがあると判断され、逮捕されやすくなります。 特にSNSやLINEで被害者へ接触した履歴は証拠として残るため注意が必要です。
傷害事件で逮捕されにくいケース
被害が軽微な場合
怪我の程度が比較的軽く、 数日の打撲、擦り傷、通院不要といったケースでは、逮捕まで至らない場合もあります。もっとも、軽傷であっても逮捕されることはありますので、油断は禁物です。
逃亡や証拠隠滅のおそれがない場合
以下のような事情がある場合には、在宅捜査になる可能性があります。
- 定職がある
- 家族と同居している
- 身元が安定している
- 捜査に協力している
- 呼び出しに応じている
逆に、警察からの呼び出しを無視すると、逮捕の必要性が高いと判断される場合があります。
正当防衛が成立する可能性がある場合
相手から先に暴行を受け、それに対して防衛行為を行ったに過ぎない場合には、正当防衛が成立する余地があります。
例えば、
- 一方的に殴られ反撃した
- 刃物を向けられて抵抗した
- 複数人に囲まれ防御した
といったケースです。 もっとも、防衛行為が過剰であると「過剰防衛」と判断され、傷害罪が成立する可能性もあるため注意が必要です。
傷害事件で逮捕された後の流れ



傷害事件で逮捕された場合、通常は警察署の留置施設で身体拘束を受けます。
逮捕後は、 下記の流れになります。
- 48時間以内に警察から検察へ送致
- 24時間以内に検察官が勾留請求するか判断
- 裁判官が勾留を認めれば最長20日間拘束
その間、
- 会社へ出勤できない
- 家族と自由に連絡できない
- スマートフォンを使えない
など、社会生活への影響は極めて大きくなります。 そのため、傷害事件では「逮捕されないための対応」が非常に重要です。
逮捕を避けるために重要なこと
早期に弁護士へ相談する
傷害事件では、初動対応が極めて重要です。
特に、警察から連絡が来る前や、被害届提出前の段階で弁護士へ相談することで、
自首への同行
被害者との示談交渉
捜査機関への意見書提出
逮捕回避に向けた対応
を進められる可能性があります。
被害者との示談を進める
傷害事件では、示談成立が極めて重要です。
被害者が、
厳しい処罰を望まない
被害届を取り下げる
宥恕(許す意思)を示す
といった事情がある場合、逮捕や起訴を回避できる可能性があります。 もっとも、加害者本人が直接連絡すると、かえってトラブル化することもあります。 そのため、弁護士を通じて冷静かつ適切に進めることが重要です。
自首を検討する
事件化する前に自首することで、
逃亡意思がない
捜査に協力的である
ことを示すことができ、逮捕回避につながる可能性があります。 特に、防犯カメラなどで既に犯人が特定されつつあるケースでは、自首が有効に働く場合があります。
傷害事件は早期対応が極めて重要です
傷害事件は、たとえ初犯であっても逮捕される可能性があります。 特に、
被害者の怪我が重い
示談が成立していない
被害者と接触している
防犯カメラ映像が残っている
といった場合には、突然逮捕される可能性も十分あります。


また、2025年の刑法改正により、自由刑は「拘禁刑」に一本化されましたが、傷害罪が重大犯罪であることに変わりはありません。


弊所では、 逮捕回避に向けた弁護活動、自首同行、取調べ対応、被害者との示談交渉、勾留阻止活動など、刑事事件に関する迅速なサポートを行っております。 刑事事件は、初動対応によって結果が大きく変わります。 傷害事件を起こしてしまい、不安を抱えている方は、お一人で悩まず、できる限り早く東京弁護士法人へご相談ください。


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