はじめに
令和5年6月16日に性犯罪関係の法改正が成立し、7月13日から施行されました。
今までは、「強制わいせつ罪」という罪名でしたが、法改正により、「不同意わいせつ罪」という罪名に改められました。
また、準強制性交罪と準強制わいせつ罪はそれぞれ、不同意性交罪と不同意わいせつ罪に統合されました。
法改正がなされたことにより、処罰範囲を拡大されました。これまで、性交同意年齢が13歳未満だったのが、「16歳未満』に引き上げられました(相手が13歳以上16歳未満の場合は、相手よりも5歳以上年長の者がわいせつな行為をしたときも不同意わいせつ罪が成立します)。
ポイント➀不同意わいせつにおいて
示談が重要な理由
日本の刑事司法においては、起訴されれば99.9%の割合で有罪となってしまい前科が付いてしまいます。
不同意わいせつ罪で前科がついてしまうことを避けるには、不起訴処分の獲得を目指す必要があります。
そして、最終的に、検察官が起訴・不起訴の判断を下しますが、検察官は起訴・不起訴の判断下す際に、被害の重大性や行為の悪質性、余罪の有無、被疑者の反省等はもちろんのこと、特に示談成立の有無や被害者の処罰感情を確認しています。
そのため、示談が成立していれば、その点が考慮され、不起訴処分を獲得できる可能性が高まります。
また、不同意わいせつ罪で逮捕されてしまった場合、被害者との示談が成立していれば、不起訴処分が見込まれるとして、早期に身柄が解放される可能性が高まります。
さらに、起訴されてしまった場合であっても、被害者との示談が成立していれば、執行猶予判決が下されるなど、刑務所に行くこと(実刑)を回避できる可能性が高まります。
ポイント②不同意わいせつにおける
示談の流れ
不同意わいせつ罪に該当する行為を行ってしまった場合で、罪を認める場合には、いち早く被害者との示談を試みる必要がありますが、被害者の連絡先が分からないことが多く、刑事事件となってしまっている以上、捜査機関は、基本的に被害者の情報を教えてくれません。
また、被害者の連絡先を知っていたとしても、捜査機関からの指示により、被害者との接触が一切禁止されるため、弁護士に依頼をした上で、被害者との間で示談を試みる必要があります。
この点、まずは、弁護士から捜査機関に対し、被害者の連絡先を教えて欲しい旨連絡をし、捜査機関が被害者の意向を確認した上で、被害者が了承をすれば、捜査機関が弁護士に対し、被害者の連絡先を教えることになります。
その後、弁護士が被害者と示談交渉を行い、示談が成立すれば、被害者との間で示談書を作成することになります。
そして、弁護士が捜査機関に対し示談書を提出するなどして、不起訴処分を求めるという流れになります。
ポイント③不同意わいせつにおける
示談書の内容
示談の成立においては、被害者の気持ちに配慮を示す必要があるところ、被害者としては、被疑者の復讐等を危惧していることが多いため、接触禁止条項などを示談書に記載した上で示談をすることが考えられます。
また、検察官は、起訴・不起訴の判断において、被害者の処罰感情を重視する傾向にあるため、示談書に「被疑者を許すこととする」といった文言や、「寛大な処分を求める」「刑事処分を求めない」といった文言が記載されていることが望ましいといえます。
ポイント④不同意わいせつにおける
示談金の相場
不同意わいせつ罪の事件に限らず、刑事事件においては、被害者の処罰感情や、個別具体的な事情によって示談金が変動するため、示談金に一律の相場があるわけではありませんが、30万円~100万円の金額で示談が成立することが多いです。
もっとも、不同意わいせつ行為の態様が悪質であり、被害者への精神的ダメージが大きい場合などは、100万円を上回る示談金を求められることもあります。
以上の通り、不同意わいせつ罪に該当する行為を行ってしまった場合で、罪を認める場合には、不起訴処分の獲得等のために、弁護士を付けた上で、いち早く、被害者との示談を成立させる必要があります。
そして、示談の内容を適切かつ効果的に捜査機関に伝える必要があるところ、弊所においては強制わいせつ事件について多数の実績がございます。
不同意わいせつ罪に該当する行為を行ってしまい今後どうしたら良いかお悩みの方は、一度、弊所までご相談いただければと思います。