無実の罪で逮捕されてしまったら
多くの方は、まずは取調べで警察官に対し「やっていない」と話し、罪を認めないと思います。
ただ、逮捕後に罪を認めなかった場合、通常、3日間の逮捕に引き続き、20日間の勾留がなされて、合計23日間は身柄拘束がされてしまう可能性が高いです。
そして、警察・検察としては23日間のなかで、何度も取調べを行い、逮捕された方に自白するよう促します。
警察・検察が自白を促すというと刑事ドラマなどの影響から悪くイメージするかもしれませんが、警察・検察としては、自白を強要するまでに至らなければ、犯人に犯行を認めさせて反省を促すことも仕事であると考えています。
そして、無実の罪で逮捕されている方としては、身柄拘束されているストレスに加え連日の取調べの疲れなどもあって、取調べにおいて、本当は犯人でないのに犯人であると自白してしまうことがあります。
供述調書に残ると、撤回は難しい
しかし、一度、無実であるにもかかわらず犯人であると話してしまうと大変なことになります。
取調べで話した内容は供述調書という形で書面に残すことになりますが、この供述調書は後の刑事裁判の証拠として提出されるものですので、仮に供述調書内に犯人であると記載されてしまえば、犯人であることを証明する裁判の証拠になってしまうのです。
検察官は23日間の身柄拘束の間に起訴するか不起訴にするかを決めますが、仮にその間に犯人であると自白した供述調書(自白調書といいます)を作成できたとすれば、刑事裁判で有罪を勝ち取れると確信し、起訴すること(刑事裁判にかけること)を決意することもあります。
そして、仮に起訴され刑事裁判になってしまった場合には、日本においては、統計上、99.9%以上が有罪になっていますので、自白を内容とする供述調書が間違いであることを主張したうえ、0.1%未満の無罪を目指すという厳しい戦いをしなければならなくなります。
無実の罪で逮捕された場合にすべきこと
無実の罪で逮捕されてしまった場合に冤罪を晴らし無実を証明するためには、以下のポイントが重要です。
自白調書や自分に不利な供述調書を作らせない
もし逮捕された方が一向に罪を認めなかったら、警察としては何度も何度も取調べを行い、繰り返し自白するよう説得することが通常です。
そして、先ほど述べたように、犯人でないのに犯人であると自白した供述調書や自分に不利な供述調書を取調べで一度でも作られてしまうと、取り返しのつかないことになり得ます。
そのため、仮に冤罪で逮捕されてしまった場合には、できる限り早く弁護士をつけ、取調べの対応についてアドバイスを受けたうえ、自白調書や自分に不利な供述調書を作らせないことが重要になります。
違法・不当な取調べを防止する
冤罪で逮捕されてしまった方は、疲れやストレスから非常に不安定な精神状態にあるため、仮に取調べ中に警察官から暴力を振るわれて自白するよう強制されたり、長時間にわたる取調べを強要されたり、「素直に罪を認めればすぐに出してやる」などと甘い言葉をかけられたりした場合、犯人でなくとも犯人であると自白をしてしまうおそれがあります。
しかし、このような取調べはいずれも違法・不当な取調べになりますので、弁護士としては、このような取調べが行われないよう警察などに働きかけ、仮に、このような取調べが行われてしまった場合であれば、直ちに中止するよう警告します。
無実を裏付ける証拠を探す
仮に無実を裏付ける証拠が見つけることができれば、起訴前なら直ちに釈放となってすぐに社会復帰できますし、起訴後なら無罪判決を獲得できます。
そのため、身柄拘束されている方の代わりに弁護士が主体となって無実を裏付ける証拠を探すことがとても重要です。
無実の罪で有罪にされないためには、弁護士とともにスピーディーに対応することが非常に重要です。
一度、自白をしてしまうと取り返しのつかないことになる可能性もあるため、その前に弁護士から適切なアドバイスを受けることをお勧めします。