交通事故車の修理代。アジャスターの見積に納得できない場合は?

交通事故で損壊した車の修理を行った場合、かかった修理費については、通常、加害者(または加害者側保険会社)に全額支払ってもらえます。

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修理費が支払われるまでの流れ
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交通事故_自動車

交通事故に遭った後、被害者が修理工場を探し、修理工場に事故車を入庫します。

そして、事故車を受け取った修理工場は、通常、加害者側保険会社に事故車が入庫になった旨を連絡します。

その後、修理工場は、車の損壊部分などを確認したうえ、修理費の見積もりを作成し、事故車の写真とともに修理費の見積書を加害者側保険会社に送付します。

保険会社からアジャスターへ依頼

交通事故_アジャスター

加害者側保険会社は、アジャスター(保険会社から委託を受けて修理内容や修理費の妥当性などを調査・判断する専門家)に依頼をします。

アジャスターは、修理費の見積書に記載のある修理内容や修理費の金額が妥当であるかを検討します。

アジャスターは、修理費の見積書と事故車の写真を確認するのみで検討を終了させることもありますが、場合によっては、立会いといって、直接、事故車を肉眼で確認したうえで修理見積書の妥当性を検討することもあります。

仮に、アジャスターが修理費見積書の内容は妥当であると判断した場合には、修理工場と加害者側保険会社との間で修理内容と修理費の金額を確定する協定を結びます。

アジャスターの見積に納得いかない

他方、修理工場とアジャスターの見解が食い違うケースもあります。

その場合、両当事者で妥当な修理内容・修理費について協議を行い、まとまった内容で修理に関する協定を結びます。

その後、修理工場は、協定で確定した修理内容に従って事故車の修理を行い、加害者側保険会社は、修理工場に対し協定で確定した金額の修理費を支払います。

通常、修理工場と加害者側保険会社との間で修理内容を確認し、協定を結んだうえで修理は行われますので、本ページ上部で述べたような修理をしたのに修理費を支払ってもらえないというようなケースはほぼ生じないことになります。


ご不満の場合は弁護士に相談を

物損事故の場合、被害者の方が「弁護士に依頼するほどの金額ではないから・・・」と弁護士に相談することをためらうケースもあります。

しかし、ご自身で加入されている自動車保険に弁護士費用特約というオプションが付いている場合、費用負担なく弁護士に依頼をすることが可能です。

アジャスターによる見積もりに納得いかないという方は、まずは当事務所までご相談いただければと思います。


損壊の程度による解説

以下の3つのケースにおいては、修理費を支払ってもらえないこともあるので注意が必要です。

修理不能な場合

車の損壊の程度が激しく修理が不能である場合には、車の修理を行うのではなく車を買い替えるべきですので、修理を行ったとしても修理費全額の賠償は受けられません。

修理が不能である場合には、事故直前の車の価値から事故後の損壊した車の価値(通常は鉄くずの価値しかありません)を差し引いた金額(買換差額といいます)に、車の登録費用など車を買い替えるために必要な諸費用を加えた金額(あわせて買換え費用といいます)が賠償金として支払われますので、被害者はこの賠償金をもとに車を買い替えることになります。

経済的全損の場合

車の修理が可能な場合であっても、修理費が事故直前の車の価値を上回る場合(このようなケースを経済的全損といいます)には、事故直前の車の価値の限度でのみ修理費が支払われます。

例えば、事故直前の車の価値が50万円で修理費が100万円かかる場合、修理費は50万円のみ賠償されるということです。

そのため、経済的全損にあたる場合には、車を修理すべきか慎重に考えなければなりません。

修理費が適正でない場合

修理費は必要かつ相当な範囲でのみ支払われることになっていますので、不要な修理に関する修理費や相当でない修理費については賠償がなされません。

例えば、交通事故とは関係ない破損部分を修理した場合の修理費は当然支払われません。

また、よく問題になるケースとして、部分塗装で足りるにもかかわらず全塗装を行った場合の修理費も全額は支払われませんし、板金修理で足りるにもかかわらず部品交換を行った場合の修理費についても全額は支払われません。

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