相続調査の目的と重要性を弁護士が解説

相続が発生した際、最初に行うべき重要な作業の一つが「相続調査」です。相続調査とは、被相続人の死亡を起点として、誰が相続人にあたるのか、どのような相続財産があるのか、また遺言書が存在するのかを明らかにする一連の調査活動を指します。

今回は、弁護士の実務の立場から、相続調査の意義・手順・留意点について解説します。

目次

相続調査の目的と重要性

相続において、まず必要となるのは「相続人の確定」と「相続財産の把握」です。相続人を確定しなければ遺産分割協議が成立せず、また相続財産の内容が不明なままでは適正な分割や相続税の申告ができない状況となってしまいます。

さらに、遺言書が存在する場合、その内容により相続の内容は大きく変動するため、早期に把握する必要があります。

仮に調査が不十分であると、後日新たな相続人や財産が判明し、相続手続のやり直しや無効主張、訴訟トラブルへ発展するリスクが高まります。したがって、相続調査は、相続全体の土台となる極めて重要なステップとなります。

相続人調査(戸籍の収集と分析)

相続人を確定するためには、被相続人の出生から死亡までの全ての戸籍を収集・精査する必要があります。戸籍法の改正や転籍等により、複数の役所から戸籍を取り寄せる必要がある場合が多く、改製原戸籍や除籍簿を含めた丁寧な調査が求められます。

なお、令和6年3月1日より、本籍地以外の市区町村の窓口でも戸籍等を請求できるようになりました(広域交付制度)。

相続人調査(相続人の範囲の確定)

相続人は民法に定められた順位により決定されます。具体的には、配偶者は常に相続人となり、第1順位は子、第2順位は直系尊属(親など)、第3順位は兄弟姉妹になります。

養子、非嫡出子、認知された子などの関係者も考慮し、家系図(相続関係説明図)を作成して相続人を整理するのが望ましいです。

財産の分類と調査手段

相続財産は、大きく「プラスの財産」と「マイナスの財産」に分けられます。

  • プラスの財産:不動産(登記簿謄本・固定資産税評価証明書等)、預貯金(金融機関への照会)、有価証券、自動車、貴金属、美術品、各種権利など
  • マイナスの財産:借入金、保証債務、未払税金、クレジットカード残債など

弁護士の業務としては、被相続人の郵便物・通帳・保管書類等から財産の存在を調査し、必要に応じて金融機関や信用情報機関への照会を行います。相続放棄や限定承認の判断期限(原則3ヶ月)との関係から、迅速な調査が求められますが、弁護士にご依頼いただければ、迅速な対応が可能になります。

不動産と金融資産の調査

調査方法の具体例
※不動産の調査方法

法務局での登記簿謄本取得のほか、市区町村役場での名寄帳や課税明細書の取得も有効です。

 ※金融資産の調査方法→被相続人の死亡届提出後、各金融機関に対して相続発生の事実を通知し、残高証明書等を取得します。

証券会社、ネット銀行、仮想通貨口座なども見落としやすいため、入念な調査が必要となります。

遺言書の調査

遺言書の有無・内容・有効性も重要な確認事項になります。自筆証書遺言の場合は自宅や貸金庫等で保管されていることが多く、家庭裁判所での検認手続の申立てが必要となります。

遺言書の形式や内容によっては、法的効力に欠ける場合や、遺留分侵害などの問題が発生するため、内容の精査は弁護士の専門的関与が重要になります。

弁護士による相続調査の役割

相続調査には法的知識と実務経験が不可欠となります。弁護士は、戸籍調査・財産調査・遺言分析を一括して行い、相続関係説明図や財産目録を作成し、適正な遺産分割協議や申告へと繋げる体制を整える役割を果たします。

特に以下のようなケースでは、弁護士への依頼をおすすめいたします。

  • 相続人の数が多く、関係が複雑又は希薄である
  • 認知・養子・非嫡出子などの特別な事情がある
  • 財産の種類が多岐にわたる、または国外にある
  • 相続放棄や遺留分侵害などの紛争リスクが高い

おわりに

相続調査は、相続全体の出発点であり、慎重かつ丁寧に進めるべき作業になります。近年は相続財産の多様化、家族関係の複雑化、デジタル遺産の増加などにより、調査内容も高度化しています。
適切な相続調査を行うことで、相続トラブルの未然防止が可能となり、相続人間の信頼関係を維持しつつ、公正な相続を実現することが可能になります。

相続調査を弁護士に依頼するかお悩みの方は、東京弁護士法人へお気軽にご相談ください。

執筆者東京弁護士法人

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