相続放棄とは?相続放棄の方法や流れについて解説

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相続放棄とは

相続放棄とは、被相続人の残した財産の一切の相続を拒否することです。相続放棄をすると、借金などのマイナスの財産はもちろん、現金や不動産などのプラスの財産も受け取ることはできず、相続放棄を行った相続人ははじめから相続人ではなかったとみなされます

そのため、相続放棄を検討すべきケースとしては、財産より負債の方が多い時や、相続のもめごとに巻き込まれたくない時などが挙げられます

相続放棄の期限

相続放棄には期限が設けられています。

相続放棄の手続きが可能な期限は「自己のための相続の開始があったことを知った時から3か月以内」(民法第915条第1項)と定められています。

これを熟慮期間といい、基本的には期限内に手続きを済ませなければなりません。期限を過ぎるとすべての遺産を通常通り相続しなければならなくなりますが、財産の調査に時間がかかる場合などには、相続放棄の期限を延ばす手続きをすることができます。(民法第915条第1項ただし書き)。

「自己のための相続の開始があったことを知った時」とは、被相続人が亡くなったことを知った時という意味になります。

相続放棄の方法、流れ

相続放棄の大まかな流れは下記の通りです。

相続調査を行う
②相続放棄の手続きにかかる費用を準備する
③相続放棄の手続きの必要書類を用意する
家庭裁判所に相続放棄を申し立てる
⑤家庭裁判所から照会書が届く
⑥相続放棄が許可されれば相続放棄申述受理通知書が届く

ここからは相続放棄の手続き方法について詳しくご説明していきます。

相続調査を行う

まず、相続放棄をするべきか判断するために、被相続人の財産調査を行います。相続放棄は一度行うと原則撤回ができません。手続き後にプラスの遺産があることに気づき、損をしないためにも、プラスの財産とマイナスの財産がそれぞれどのくらいあるのかしっかりと調査をしたうえで、相続放棄をすべきか慎重に判断する必要があります。

相続放棄手続きにかかる費用を準備する

相続放棄申立人ひとりにつき800円の収入印紙が必要となります。また、連絡用の郵便切手代や、戸籍謄本などを取得する際の費用もかかります。

必要書類を準備する

相続放棄の必要書類は、相続放棄を申し立てる方が被相続人とどのような関係であるかによって異なります。
ただし、次の4つの書類は全ての場合に共通して必要です。

被相続人の死亡の記載のある戸籍謄本
被相続人の住民票除票または戸籍附票
申立人の戸籍謄本
相続放棄申述書

被相続人と申立人の関係によっては、このほかに追加で書類が必要になりますので、注意が必要です。

家庭裁判所に申述する

必要な費用と書類が準備できたら、家庭裁判所に相続放棄を申し立てましょう。

原則、申立ては相続人本人が行う必要があり、相続人が未成年の場合は、親などの法定代理人が申し立てることになります。

また、相続放棄の申立先は、被相続人の最後の所在地を管轄する家庭裁判所です。管轄の家庭裁判所は裁判所のホームページで確認できますので、事前にチェックしておきましょう。なお、前述の通り、相続放棄手続きは3ヶ月以内に行う必要がありますが、上記の「家庭裁判所への申述手続き」を期限内に行えばいいということになります。

被相続人の最後の所在地とは、被相続人が亡くなった時の住民票の場所を指します。

家庭裁判所から届く照会書に記入し返送する

相続放棄を申し立てると、後日家庭裁判所から照会書が届きます。照会書には回答を記入する欄がありますので、必要事項を記入して家庭裁判所へ返送しましょう。
照会書の内容としては、「申述内容が真意に基づいたものであるか」や、「法定単純承認にあたる内容がないか」などの確認になります。

法定単純承認とは、相続人が被相続人の財産の一部または全部を使ったり処分したりした場合などに、単純承認したとみなされることを言います
単純承認にあたるかどうかの判断については、ご自身だけで行うことが難しい場合もありますので注意が必要です。

相続放棄申述受理書が届く

照会書を返送し、相続放棄の申述が受理されれば、家庭裁判所から「相続放棄申述受理書」が送付されます。この受理書をもって、相続放棄が正式に認められたことになり、原則として、被相続人の債務について責任を負う必要はなくなります。

なお、相続放棄申述受理書は一同紛失すると再発行することはできないため、紛失しないように大切に保管しておきましょう。

まとめ

相続放棄は、被相続人の負債が財産を上回る際には有効な手段と言えます。しかし、相続放棄は一度行うと撤回できず、後になって負債を上回る財産が見つかったとしても取り戻すことはできません。相続放棄を行うか迷われている方やご自身での手続きに少しでも不安のある方は、一度弁護士に相談することをおすすめします。

当弁護士法人では、相続問題に関する案件も多く取り扱っておりますので、相続問題でお悩みの方は、ぜひ一度、立川法律事務所にご相談いただければと思います。

執筆者東京弁護士法人

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