遺留分を請求されたら

遺留分の支払いを求められているが、金額が妥当なのか分からない。

自分で対応することは可能?
それとも弁護士に依頼した方がよい?

上記のようなご質問をいただくことがよくあります。

目次

遺留分とは

相続_調停

遺留分とは、兄弟姉妹や甥姪以外の相続人に保障された最低限の遺産取得分のことをいいます。

遺留分として保障される割合は、基本的に法定相続分(民法で定められた相続人が相続できる割合)の半分です。

(ただし、父母や祖父母など直系尊属のみが相続人である場合は法定相続分の3分の1になります。)

例:子供二人のケース

例えば、配偶者と子2人が相続人である場合は、配偶者の法定相続分が2分の1、子1人の法定相続分が4分の1となるため、配偶者の遺留分は4分の1、子1人の遺留分は8分の1となります。

この例でいえば、全財産を子2人に譲るという内容の遺言が作成されていた場合、配偶者は最低保障分である4分の1の財産すら取得できないことになります。

したがって、配偶者として遺産の4分の1に相当する金銭を支払うよう子2人に遺留分の請求をすることができます(ちなみに、遺留分に満たない分をお金で支払うよう請求することを「遺留分侵害額請求」といいます)。

少ない財産しか貰えないケースで発生

このように、遺留分の請求(遺留分侵害額請求)というのは、基本的に、遺言で遺留分に満たない財産しか貰えなくなってしまった相続人が存在する場合に発生するものです。

そのため、既に遺留分の請求をされている方はもちろん、遺言で少ない財産しか貰えなかった相続人がいる場合には自分が遺留分を請求される可能性はないか検討したうえで、慎重に対応していくことが重要です。

以下では、遺留分を請求された場合の注意点と弁護士に依頼すべき理由を説明していきます。


遺留分請求の注意点

時効が成立していないか確認する

遺留分には「時効」があります。

すなわち、遺留分を請求する権利は基本的に遺留分侵害の事実を知ってから1年経つと時効にかかり、権利が消滅します。

そのため、遺言で少ない財産しか貰えなかった相続人が自分の取得した財産が遺留分に満たないことを知った時点から1年以内に遺留分の請求をしないと、遺留分が取得できなくなるというわけです。

このように、遺留分には厳しい期間制限がありますので、遺留分を請求された場合であっても焦らずに時効が成立していないか確認する必要があります。

無視せずに慎重に対応を検討する

口頭や書面などで遺留分を請求された場合、仮に対応せずに無視をしてしまうと、遺留分には上記のような期間制限がある関係もあって、調停や裁判など裁判所の手続を申し立てられてしまう可能性があります。

一度、裁判所の手続を申し立てられてしまうと、基本的には解決まで短くとも半年から数年程度の期間がかかってしまいますので、もし早期解決を望まれるのであれば、無視をせずに交渉で解決できるか試みる必要があります。

遺留分侵害額を計算し請求額が妥当か検討する

遺留分を請求された場合、必ずしも請求されている金額が正しいとは限らず、場合によっては法的に妥当でない過剰な請求がなされている可能性があります。

そのため、ご自身で遺留分侵害額(相手方が法的に請求できる遺留分の金額)を計算したうえ、相手方の請求額が正しいか検討しなければなりません。

しかし、遺留分侵害額を算出するには、その前提として遺産全体の金額がいくらかを算出する必要がありますが、遺産に不動産や自動車、株式など価値が明確でない財産が含まれる場合はそれらをいくらで評価するかという問題があり、このような財産の評価が非常に難しいという実情があります。

また、遺留分侵害額の計算は、正確に計算をしようとすると若干複雑な計算式となり、さらに計算の際に「特別受益」という法的に難しい概念の金額を考慮して計算を行わなければなりません。

そのため、ご自身で正確に遺留分侵害額を算出するのは、実際上はなかなか難しいと思います。


遺留分請求の対応を
弁護士に依頼すべき理由

遺留分侵害額を適正に算出し
相手の請求額が妥当か検討できる

計算

ご自身で遺留分侵害額を正確に計算しようとすると、若干複雑な計算式を正しく理解したうえで計算しなければなりません。

弁護士でない方がミスなく正確な遺留分侵害額を算出するのは困難で、侵害額の計算を誤ってしまうと、場合によっては数百万、数千万円という単位で損をしてしまう可能性があります。

この点、遺留分請求の対応を弁護士(特に相続問題を多く取り扱っている弁護士)に依頼をすれば、遺留分侵害額の計算を正しく行い、相手の請求額が妥当か正確に見極め、仮に相手が過剰な請求を行っているのであれば妥当な金額を主張して交渉を行うことが可能です。

冷静に話し合いを進められる

ご自身で遺留分請求の対応をすると、相手方が家族であればなおさら感情的な対立が起こりやすくなり、トラブルになるケースが多々あります。

そして、一旦、対立が生じてしまうと、まともに話し合うことすら困難になります。

この点、第三者である弁護士が交渉をすれば、当事者同士の直接のやり取りがなくなるため、お互い感情的にならずに遺留分請求への対応を進められます。

調停や訴訟も任せられる

仮に相手に対し正しい遺留分侵害額を主張したとしても、相手がどうしても納得しなければ話し合いで解決することは困難です。

その場合、相手は遺留分請求の調停や訴訟などの裁判所の手続を申し立てて遺留分を請求することを選択すると思われ、一旦、裁判所の手続になってしまえば、それに付き合わざるを得なくなります。

しかし、遺留分請求の調停は、離婚調停などとは異なり、法的な議論に終始する調停になるため、ご自身だけでこなすのは困難ですし、訴訟になると、もはや話し合いの場ではなく、主張は全て法的書面に記載したうえで行わなければならないため、弁護士でない方が満足に対応するのは難しいと思います。

この点、遺留分請求の対応を弁護士に依頼すれば、交渉だけでなく、調停手続や裁判手続についても対応でき、依頼者の代わりに出席して進めていくことが可能ですので、仮に裁判所の手続を行う場合であっても、依頼者が一度も裁判所に出向くことなく解決に至るということも多くあります。

ちなみに、法律上、依頼者の代わりに相手方と交渉したり、調停に参加したり、訴訟に参加することができるのは士業の中では弁護士だけですので、これらの業務を司法書士や税理士、行政書士などに依頼することはできません。

東京弁護士法人では
相続の無料相談を実施中

当弁護士法人では、本店(立川法律事務所)のある立川・多摩地域の方をはじめとして、東京・関東にお住まいの方に対して、日々、相続や遺留分に関する無料相談を行っております。

遺留分を請求された場合は、無視してはいけないことはもちろん、何らかの回答をする前に方針などを慎重に検討しなければなりませんし、一度、方針を誤ってしまうと取り返しのつかないことにもなりかねません。

遺留分を請求された方や相手との交渉が上手くいかない方などは、お気軽に当弁護士法人までご相談ください。

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