相続放棄は自分で手続きできる?ご自身で行う場合のリスクについて

目次

はじめに

 相続放棄とは、被相続人の残した財産の一切の相続を拒否することです。

 相続放棄をすると、借金などのマイナスの財産はもちろん、現金や不動産などのプラスの財産も受け取ることはできず、相続放棄を行った相続人ははじめから相続人ではなかったとみなされます。そのため、財産より負債の方が多い時や、相続のもめごとに巻き込まれたくない時などに相続放棄をする場合があります。

 相続放棄の手続きはご自身で行うことも可能ですが、申請期限なども定められているため、あらかじめ手順や必要書類などを把握しておくことが重要です。

 本記事では、相続放棄の手続きをご自身で行う場合の注意点やリスクについてご説明いたします。

リスク① 照会書の回答の書き方がわからない

  相続放棄の申述を行うと、裁判所から照会書が届きます。

照会書は必要項目について回答して返送する必要がありますが、その時のケースによって照会事項が異なるため、回答すべき内容も様々です。時には、法的な判断が必要となる項目があり、知識がないと回答が難しい場合もあります

照会書が返送できないと手続きが進まないため、ご自身で判断がつかない場合には、弁護士などへの相談をおすすめします。

リスク② 書類に不備があると裁判所から呼び出される場合がある

 申述に必要な書類に不備があると、裁判所から確認の連絡があったり、場合によっては裁判所に呼び出されたりする可能性があります。ご自身で手続きを行う場合は、そういった呼び出しにも自分で対応しなければなりません。この点、弁護士などの専門家に手続きを依頼している場合は、そのような対応もすべて代わりに行ってもらえます。

リスク③ 手続きが間に合わずに、相続放棄の期限が過ぎてしまう

 相続放棄には熟慮期間と呼ばれる期限が設けられており、「自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内」に申述する必要があります

必要書類の収集に時間がかかったり、提出書類の不備などで期限を過ぎたりしてしまうと、単純承認として原則、遺産を相続することになってしまいますので注意が必要です。

リスク④ 申請を却下される可能性がある

 相続放棄は申し立てを行ったからと言って必ず受理されるわけではありません。そして一度却下されると、再申述したとしても、認められるにはそれ相応の理由が必要になってしまいます。

この点、弁護士などに事前に相談することで、申請が受理されそうかの判断をしてもらえるため、受理されるか不安な場合には一度相談してみるといいかもしれません。

リスク⑤ 相続放棄をすることで損をする可能性がある

 相続放棄をご自身で行う場合、相続放棄をすべきか否かを正確に判断できないという懸念もあります。

例えば、相続人に負債があった場合、相続放棄のほかに「限定承認」という手続きもあります。
限定承認は、被相続人のプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を相続する手続きです。
この場合、相続放棄をすると、本来受け取れるはずだった遺産まで放棄してしまい損をする可能性があります。

相続財産の洗い出しがしっかりとできていないまま相続放棄をしてしまい、手続き後にプラスの財産がみつかるというケースもあるため、相続放棄をするかどうかの判断は慎重に行いましょう。

リスク⑥ 別の相続人とトラブルになりやすい

相続放棄をおこなうと、相続権が次の相続人に移ります。本来自分が相続するはずだった負債が次の相続人に移ってしまうため、相続放棄をした旨を伝えなかった場合、トラブルになる可能性があります。

リスク⑦ 相続放棄後の保存義務についてトラブルになることも

 相続放棄をしても、現状ご自身が財産を占有している場合は、相続財産の清算人に財産を引き渡すまでは保存義務を負います。

例えば、被相続人と一緒に住んでいた家を相続放棄したとしても、すぐにその家を相続する人がいない場合、家の管理は責任をもって行わなければなりません。相続放棄をすると、一切の義務はなくなると勘違いしてしまいがちですが、管理を怠ったことで、賠償責任を負う可能性や第三者とのトラブルに発展する可能性もありますので注意が必要です。

相続放棄を自分で行っていいケースと、専門家に依頼すべきケース

前述の通り、相続放棄の手続きはご自身でもできるものの、気をつけるべき点やリスクが複数あります。では、どのようなケースに、弁護士などの専門家に依頼すべきなのでしょうか。ご自身で行っていいケースと専門家に依頼すべきケースの例をご紹介します。

自分で行っていいケース例

  • プラスの遺産よりもマイナスの遺産の方が明らかに多いケース
  • 相続人が自分だけ、もしくは人数が少なく、トラブルになる可能性が低いケース
  • 期限までに余裕をもって対応できるケース

専門家に依頼すべきケース例

  • 遺産の種類が多いなど、財産関係が複雑なケース
  • 相続人の人数が多い、もしくは疎遠な相続人がいるケース
  • 海外に住んでいて手続きを進めるのが困難なケース
  • 自分で対応することに不安があるケース
  • 仕事などで忙しく、労力をかけられないケース

 上記のようなケースでは、法的な専門知識が求められたり、複数の相続人との調整が必要になったり、手続き自体が複雑になったりするため、専門家に相談することをおすすめします。

最後に

相続放棄は、被相続人のマイナスの財産がプラスの財産を上回る場合には有効な手段です。ただ、期限が定められていたり、一度相続放棄をすると取消しができなかったりと、ご自身だけでは対応や判断が難しいケースもあります。

東京弁護士法人では、年間相談2000件超の経験とノウハウをもとに、相続に関する相談・案件に精通した弁護士が多数在籍しておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。 

執筆者東京弁護士法人

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