相続発生後にすべきこととは?

ご家族・ご親族のどなたかが亡くなられた場合、何をすべきか分からず混乱することもあるかと思います。

親戚への連絡や葬儀屋の手配など亡くなったあとにすべきことはたくさんあります。

ここでは、相続や遺産分割を見据えて法的にすべきことを弁護士の観点から解説します。

目次

相続開始から7日以内

以下、時系列に沿って相続の流れを説明しつつ、必ずすべきことは何か、押さえるべきポイントは何かを説明していきたいと思います。

死亡届の提出

相続開始(死亡)から7日以内に市区町村役場に死亡届を提出しなければならないことになっています。

遺言書の捜索

亡くなった方が遺言を残していた場合、遺言通りに財産を分けることになりますので、遺言があるかという点はとても重要です。

そのため、ご家族などで遺言の有無を誰も把握していない場合には、亡くなった方の部屋などを捜索し、遺言がないか調べた方がよいと思います。

ちなみに、遺言は便せんなどを用いて自筆で作成するパターンと、公証役場という場所で作成するパターンの2パターンがあります。
公証役場で作成された遺言については、相続人が必要書類を提出して公証役場の検索システムを利用することで、亡くなった方がどこかの公証役場で遺言を作成していないか横断的に検索することができます。


四十九日法要まで

相続人の調査

相続_家系図

遺産を分ける前提として、誰が相続人であるかを確定させます。

「誰が相続人かなんて調べなくても分かるではないか」とお考えになる方もいらっしゃるかもしれません。

しかし、亡くなった方にご家族も知らない子どもがいたというようなケースも珍しくありません。

そこで、亡くなった方の戸籍謄本などを取り寄せ、誰が相続人かを正確に調べる必要があります。

また、遺産を誰にどのように分けるかを決めるために遺産分割の話し合いを行う場合、遺産分割の話し合いは、相続人全員が参加したものでないと無効になってしまいますので、そのような意味でも誰が相続人かは正確に把握しておかなければなりません。


相続開始から3ケ月以内

相続財産の調査

相続_家系図

遺産を分ける前提として、誰が相続人であるかという点に加え、どのような遺産があるかということも確定しなければなりません。

相続で引き継がれる財産には、預金や不動産などのプラスの財産だけでなく、借金などのマイナスの財産も含まれます。

そこで、亡くなった方の通帳や郵便物などを手掛かりに、どのような遺産があるか、特にマイナスの財産がないかを念入りに調べる必要があります。

仮に亡くなった方に借金があるか詳細に調査したい場合には、相続人であれば信用情報機関(個人の借金の履歴を管理している機関)に必要書類を提出したうえで調査することも可能ですので、気になる方は調査してみることをお勧めします。

KSC(主に銀行系の借金の履歴を管理する機関)、CIC(主にクレジットカード系の借金の履歴を管理する機関)、JICC(主に消費者金融系の借金の履歴を管理する機関)という3つの信用情報機関が代表的な機関ですので、この3つの機関に対して照会をかけてみるとよいと思います。

相続するか否かの決定

相続人は遺産を相続することも相続しないことも可能です。

相続すると借金などのマイナスの財産も引き継いでしまうため、相続するか否かは、遺産の内容によって選択することになるかと思います。

そのため、亡くなった方に借金がどれだけあるかを正確に把握したうえで相続するか否かを慎重に決めましょう。

なお、民法では、相続開始を知った時点から3ヶ月以内に相続するか相続しないかを決めなければならないことになっていますので、この期間内に決断する必要があります。


相続開始から4ヶ月以内

相続財産の評価

例えば、遺産の中に土地・建物が含まれていた場合、土地・建物の価値は目に見えませんので、その価値を正確に把握することは簡単ではありません。

しかし、相続税の納付が必要な場合には土地・建物の価値に応じて税金の額が決まりますし、遺産分割の話し合いを行う場合においても、土地・建物の価値が分からなければ話し合いも難しくなります。

そのため、相続財産の価値を確定させる必要があるのです(相続財産の評価方法やどのように相続財産の価値を確定させるかについての説明はここでは省略します)。

亡くなった方の所得税の確定申告

亡くなった年の1月1日から死亡日までにおいて、亡くなった方の所得で確定申告が必要な場合には、死亡後4ヶ月以内に相続人で確定申告をしなければならないことになっています。

相続開始から10ヶ月以内

遺産分割

相続人が確定し、相続財産の調査・評価などが完了した場合、いよいよ遺産を分ける手続に入ります。

そして、亡くなった方の遺言が残っていれば遺言通りに遺産を分けることになりますし、そうでない場合には民法のルールに従って遺産分割の話し合いで遺産を分けることになります。

名義変更

相続財産の分け方が決まった場合、不動産や自動車など名義がある財産については、その財産を取得する人の名義に変更する必要があります。

相続税の申告・納付

相続財産を取得したことについて相続税がかかる場合には、相続開始を知った時点から10ヶ月以内に相続税の申告・納付をしなければなりません。

そのため、基本的には遺産分割も相続税申告期限の10ヶ月以内に完了させなければなりませんが、どうしても相続人間で話し合いがつかず、この期限に間に合わないということもよくあります。

その場合、遺産分割が未分割ということで一旦相続税申告・納付を行い、遺産分割が完了した後に改めて申告(更正の請求または修正申告)することになります。


まずは弁護士にご相談を

大まかな流れはご理解いただけたでしょうか。

特に3ヶ月以内に相続するか否かを決めるという点と、10ヶ月以内にできれば遺産分割を終わらせて必要であれば相続税申告・納付を行うという点を忘れないようにしていただければと思います。

当弁護士法人では、本店(立川法律事務所)のある立川・多摩地域の方をはじめとして、東京・関東にお住まいの方の相続問題の解決に積極的に取り組んでおりますので、まずは、当弁護士法人までご相談をいただければと思います。

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