はじめに
遺留分とは、被相続人(お亡くなりになった方)の相続財産のうち、兄弟姉妹を除く法定相続人(配偶者や子供など)に認められた最低限の遺産の取得分のことを言います。遺留分は、被相続人が遺言を作成した場合や相続人に生前贈与をしたことに関わらず保障されます。
例えば、被相続人が亡くなった後、被相続人が作成した遺言に遺産の分割方法について、各相続人間において公平性を欠く内容が記載され、相続人自身の「遺留分」が侵害されていた場合、遺言によって多く遺産を取得する相続人に対し、「遺留分」を請求することができます。
そこで遺留分を請求したいときに押さえておくべきポイント5つを確認しましょう。
①法改正により金銭の請求が可能になったこと
1つ目のポイントは、2019年に相続法が改正されたことにより、金銭の請求ができるようになったことです。

相続法が改正される前は、遺留分を請求する権利がある相続人が遺留分を侵害している相続人に対し、遺留分を侵害している相続財産そのものに対して侵害額相当の物的な権利を請求する現物返還が原則でした。ところが、時代の変化に伴い、相続法が現代にそぐわない点が明白になっていたため、相続法の見直しが検討され、40年ぶりに相続法が改正されました。改正により、金銭の請求が可能になりました。
②遺留分により保障される割合
2つめのポイントは、遺留分により保障される割合です。遺留分により保障される割合は法定相続分の半分と理解すると分かりやすいです。 ただ、父母や祖父母などの直系尊属のみが相続人の場合は3分の1まで保障されますので注意が必要です。
例えば、被相続人に配偶者と子供が2名いる場合
・配偶者は1/2(法定相続分)×1/2(遺留分)=1/4
・子供は1人につき1/4(法定相続分)×1/2(遺留分)=1/8
上記の割合として、遺留分が保証されます。
また、被相続人に子供がおらず配偶者と両親がいる場合
配偶者の法定相続分は2/3、両親の法定相続分はそれぞれ1/6となるため、
・配偶者は2/3(法定相続分)×1/2(遺留分)=1/3
・両親は1人につき1/6(法定相続分)×1/2(遺留分)=1/12
上記の割合として、遺留分が保証されます。
③遺留分を請求できる期限
3つめのポイントは、遺留分を請求できる期限です。遺留分を請求できる期限は、相続開始及び遺留分が侵害されていることを知った時から1年、または相続が発生してから10年です。
遺留分が侵害されていることを知った時から1年という点については、あくまで「知った時」ですので、例えば、被相続人が亡くなってから5年後に遺留分が侵害されていることが判明した場合でも、知った時から1年後が遺留分を請求できる期限となります。
また、相続が発生してから10年という点については、除斥期間として設けられている期限です。除斥期間とは、法律で定められた権利を行使できる期間のうち、法律関係を速やかに確定させるために一定期間の経過で権利が消滅することを意味します。
なお、除斥期間は時効とは異なり、中断することはできません。被相続人が亡くなったことを知らなかった場合でも、相続が発生してから10年経過すると、遺留分を請求できなくなるので注意が必要です。
④遺産に不動産が含まれているか否か
4つめのポイントとして遺産に不動産が含まれている場合には注意が必要です。

不動産は遺産の中でも金額が大きく、トラブルになりやすいため、不動産の評価額を予め正しく把握しておくことで、獲得できる遺留分を増額することもできます。遺留分の請求をお考えの方は、請求をする前に相続する不動産を査定に出すことをご検討ください。また、不動産会社や査定方法等により評価額は大きな差があり、500~1000万円もの差が出る場合もあります。そのため、複数の不動産会社に査定を依頼することをお勧めします。
⑤特別受益
5つめのポイントは、特別受益です。
生前贈与や遺贈によって被相続人から利益を得ている相続人がいる場合に、受けた利益をその相続人の相続分の一部とみなし、遺産分割の前に優先的に配当された財産とすることで、相続人間の公平を図る制度のことを言います。
ここで押さえておきたい要点としましては、特別受益にあたる贈与については、遺留分を算出する基礎となる遺産に含まれるということです。特定の相続人に対して特別受益にあたる贈与が認められる場合は、特別受益の「持ち戻し」が行われます。特別受益の「持ち戻し」とは、特別受益として得た額を遺産に加算したうえで、法定相続分にしたがって各法定相続人への相続分を割り出すことを言います。 このとき、特別受益にあたる贈与を得た法定相続人については、特別受益相当額の遺産をすでに受け取ったものとして相続分が計算されます。ただ、特別受益として認められる生前贈与や遺贈は、相続開始から10年以内のものに限られます。

