遺言の無効を確定させたうえ複雑な遺産分割を調停で解決した事例

目次

ご依頼前の状況

  • ご依頼内容
    遺言無効確認訴訟・遺産分割調停
  • 遺産の内容
    多額の預金と10前後の不動産
  • 遺言の有無
    無効の疑いのある自筆証書遺言あり
  • 主な争点
    遺言の有効性と遺産の分け方
離婚_男性

まず、他の相続人に遺産の多くを渡す内容の手書きの遺言があり、筆跡が亡くなられた方のものではないと思われたため、この遺言をどう無効にするかが問題でした。

そして、当法人としては、遺言が偽造されたか否かについて話し合いで解決できる見込みはないと考え、遺言無効確認訴訟を提起することにしました。

ご依頼の結果

まず、遺言無効確認訴訟については、最終的に上告(最高裁判所への不服申立て)にまで至りましたが、裁判所が遺言は偽造されたものであることを認め、遺言は無効であるとの判決が確定しました。

また、その後、遺言が無効であることを前提に、遺産について遺産分割を行いましたが、不動産が多数であったため、話し合いでの解決は難しいことが予想されましたが、結果としては比較的早期に遺産分割調停にて話し合いでの解決に至ることができました。

解決のポイント

一般的に、裁判にて遺言が無効であることを確定させるのは容易ではなく、判決で遺言が無効であるとの判断を貰うには高いハードルがあります。

また、仮に遺言の無効を確定させることができたとしても、その後に遺産分割を行わなければならないため、非常に時間がかかることがほとんどで、ご依頼をいただいてから解決に至るまでで3~5年以上かかることも珍しくないと思います。

遺言を無効にする事実を積み上げたこと

遺言を無効にするのは容易ではありませんので、単に筆跡が異なると主張するだけでは足りないことがほとんどです。

そのため、今回のご依頼では、遺言の筆跡のどの部分が不自然であるかを具体的に主張することはもちろん、遺言が作成された状況や経緯、遺言の内容が不自然であることを事細かに主張しました。

そして、その結果として、遺言が無効であることを裁判所に認めてもらうことに成功しました。

遺産分割で妥協点を探り続けたこと

今回のご依頼では、遺産として10前後の不動産がある事案でしたので、遺産分割を行うにしても非常に揉めることが想定されました。

不動産が1つしかない遺産分割でも、不動産を売るべきか誰かが貰うべきか、仮に誰かが貰うとしてもいくら分を貰ったものとしてカウントすべきかなどで数年揉めることもよくあります。

不動産が1つであっても揉めるのに、今回はそれが10前後あるとなれば、特に工夫して話し合いに臨まなければ時間ばかり過ぎてしまうことになります。

このような思いのなかで調停に臨み、当法人の弁護士としては、他の相続人に対し、お互い譲歩できるところを見つけていかなければ、いつまで経っても解決しないことを強く説き、その結果として相続人全員で譲り合ってご依頼者様も納得できる遺産分割を行うことができました。

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