はじめに
2024年に成立した民法改正により、離婚後も父母の双方が子どもの親権を持つことができる「共同親権」制度が新たに導入されました。これは、これまで離婚後には父または母のどちらか一方にしか親権が認められなかった日本の「単独親権」制度からの大きな転換となります。
共同親権とは?
共同親権とは、離婚後も父母の双方が子どもの親権を持ち続けることができる制度です。
2024年5月17日に関連する民法改正が成立し、2026年5月23日までに施行される予定です。
これまでの日本では、離婚後は父または母のどちらか一方が親権を持つ「単独親権」が原則とされてきました。そのため、親権を巡って離婚協議や調停・裁判が長期化するケースも多く見られました。
しかし、共同親権の導入により、父母が離婚後も共に子どもの監護・教育・財産管理などに関わることが可能になります。

新制度の下では、父母の合意があれば「共同親権」を選択することができ、今後は単独親権か共同親権かを選べるようになります。
この制度は、子どもの健全な成長や両親の関係維持に寄与すると期待されており、親権を巡る対立を減らす可能性も指摘されています。
共同親権のメリットとデメリット
共同親権の導入は、親権争いの緩和や、離婚後も両親が共同で子育てに関わる仕組みの確立が期待されています。
しかし、一方でこの制度には反対の声も多く、導入が進まなかった背景もあります。
ここからは、このような共同親権に対する表裏の意見をふまえ、そのメリットとデメリットを挙げて解説いたします。
共同親権のメリット
親権争いを緩和できる
現行法では、離婚時に親権を父または母のどちらか一方に指定する必要があり、両親が親権を希望する場合、話し合いや調停では解決できず、離婚訴訟に発展することがしばしばあります。
このような親権争いは、解決まで長期間を要し、子どもの精神的な負担も大きくなります。
しかし、共同親権が導入されることで、親権争いが減少し、早期解決に至る可能性があります。これにより、子どもへの負担が軽減されると期待されています。

養育費の支払いや面会交流を円滑に行うことができる
単独親権の場合、育児の負担が親権者1人に集中することや、養育費の支払いが滞ることが多い現状があります。

しかし、共同親権を選択すれば、両親が共に育児を担い、子どもと一緒に暮らす親が忙しい時にもう一方の親に協力を頼みやすくなります。これにより、育児の負担が分担され、一方の親に過度な負担がかかることを防ぐことができます。
また、親権を共に持つことで、養育費の支払いが確実に履行されやすくなり、面会交流もスムーズに行われるようになると期待されています。
共同親権のデメリット
DVやモラハラの被害が継続してしまう可能性がある
単独親権であれば、離婚後にDVやモラハラを行っていた配偶者から逃れることが可能ですが、共同親権を選択すると、離婚後も配偶者と子どものことに関して連絡を取り合わなければならず、再びDVやモラハラの被害を受けるリスクが高まります。

改正民法では、DVや虐待が認められた場合には単独親権にしなければならないとされていますが、裁判所がどのように認定するかについては不透明な点があります。
両親の意見が対立し、決断が難航する可能性がある
単独親権では、親権者が教育に関する決定を単独で行えるため、スムーズに意思決定が進みます。しかし、共同親権では、父母両方の合意が基本的に必要となり、意見が対立すると決断が遅れる可能性があります。

特に、教育方針や育児方法に関する意見の食い違いが続くと、子どもの生育に悪影響を及ぼすことがあります。
改正民法では、日常的な事務や急迫の事情については単独親権の行使が認められており、共同親権による弊害をある程度緩和する措置が講じられていますが、無用なトラブルを回避するためには両親間の意見調整が重要になります。
終わりに
共同親権制度の導入は、子どもの福祉を第一に考えた重要な改革ですが、メリットとデメリットがあることも事実です。
弁護士が専門的な知識をもとに、アドバイスやサポートをさせていただきます。
