はじめに
追突事故とは、停止もしくは低速で走行している車両の後部に、走行中の後続車両が衝突する事故を言います。内閣府の統計によると、1年間で発生した交通事故のうち、追突事故は全体の30.5%(令和4年)を占めており、交通事故で最も多い類型となっています。
信号待ち、渋滞、右左折のタイミングなど、誰もが追突事故に遭う可能性がある中で、今回は追突事故の被害に遭った時に知っておきたい3つのポイントをご紹介いたします。
ポイント①~請求できる主な賠償金について~
追突事故に遭った場合、受けた損害に対して賠償金を請求することができます。また、ここでの損害は「精神的損害」と「財産的損害」の2種類に分けられるため、それぞれご説明していきます。
精神的損害とは
精神的損害に分類される賠償金は、いわゆる「慰謝料」であり、以下のとおり3つの種類があります。
①傷害慰謝料
事故によって怪我を負い、入院や通院を行った場合に請求できる慰謝料です。
②後遺障害慰謝料
事故によって負った怪我が完治せずに後遺症として残ってしまい、さらにその後遺症が「後遺障害」として認定機関によって認められた場合に請求できる慰謝料です。
③死亡慰謝料
事故によって被害者が亡くなってしまった場合に請求できる慰謝料です。基本的に慰謝料の請求は被害者本人が行いますが、死亡慰謝料についてはご遺族からの請求が可能となっています。
財産的損害とは
慰謝料以外の賠償金は全て財産的損害に当てはまり、さらにその中でも、事故によって余計に出費することになってしまった「積極損害」と、事故によって本来得られたはずだったものが得られなくなってしまった「消極損害」の2種類に分けることが出来ます。
「積極損害」の主な費目としては、治療費・通院交通費・車両の修理費などが挙げられます。
ただこれらはあくまでも一部であり、その他にも付添看護費や入院雑費など、積極損害の費目は多岐にわたります。どれが請求対象になるのか、その中でもどこまで認められるのか、本来請求できたはずなのに漏れて損をしてしまうのを防ぐためにも、事故によって発生した出費があった場合は、念のため全ての領収証を保管しておくと良いでしょう。
「消極損害」は人身事故のみが対象になり、休業損害や逸失利益が挙げられます。
逸失利益とは、事故によって後遺障害を負ったり死亡してしまったことによって、その後の人生で本来得られたはずの収入が得られなくなってしまった場合に請求できる賠償金です。もう一方の休業損害とは、事故によって負傷し働くことができない期間が発生してしまったり、通院のため出勤できなかったり、事故が原因でやむを得ず休業した場合に請求できる賠償金です。 逸失利益は今後得られたであろう見込の経済的利益であるのに対し、休業損害は休んだ分減少してしまった収入のことを指します。また、休業損害は学生や専業主婦の方でも請求することが可能です。
ポイント②~賠償金の3つの基準について~
これらの賠償金の計算について、実は3つの基準があります。それぞれの基準は以下のとおりです。
①自賠責基準
法律により加入が義務付けられている自賠責保険を利用して賠償金が支払われる際に用いられる計算基準です。自賠責保険は最低限度の損害填補制度ですので、通常、自賠責基準で計算された賠償金額は、3つの基準のうち最も低額なものになります。
②任意保険基準
任意で加入した自動車保険を利用して賠償金が支払われる際に用いられる計算基準です。各自動車保険会社で独自に作成した計算基準となります。任意保険は自賠責保険でカバーできない損害を補填するものですので、通常、任意保険基準で計算された賠償金額は自賠責基準で計算された金額より高額になります。
③裁判所基準
裁判で賠償金額を計算する際に裁判所が用いている計算基準です。通常、裁判所基準で計算された賠償金額は任意保険基準で計算された金額より高額(3つの基準のうち最も高額)になります。
比較すると①自賠責基準<②任意保険基準<③裁判所基準の順になっており、どの基準を用いるかによって賠償金額は大きく変わってしまいます。
加害者側保険会社は、保険会社独自の計算基準である②任意保険基準を用いて賠償金額を計算し提示します。しかし、②任意保険基準によって賠償金を計算した場合、裁判所で認められている適正な計算基準である③裁判所基準で計算した賠償金額の5~7割程度であることがよくあります。
この点、弁護士が示談交渉を行うことになれば、裁判所で認められている適正な計算基準である③裁判所基準をもとに交渉を進めていくことになります。
ポイント③~過失割合について~
冒頭でご説明したとおり、追突事故とは加害者が一方的に衝突してくるかたちの事故です。そのため、過失割合は原則10(加害者):0(被害者)となります。
しかし、以下のような例に該当する場合は、10:0とならない可能性があります。
- 不要な急ブレーキをかけた場合
- 駐停車禁止の場所に駐停車していた場合
- そもそも追い越して妨害をしていた場合 など
また、速度違反や飲酒運転、居眠り運転などがあった場合も、もちろん過失割合は修正されます。
過失割合はそのまま賠償金額に結びついてしまうため、加害者側と揉めやすいポイントの1つです。
例えば、飛び出してきた自転車や歩行者を避けるための急ブレーキであれば本来過失にはなりませんが、争点になる可能性はあるでしょう。
もし、保険会社の主張する過失割合に納得できないのであれば、こちら側の言い分を主張し、交渉していく必要があります。
まとめ
このように、追突事故の被害に遭われた場合、適正な金額・過失割合で漏れなく賠償金を請求できるかどうかが非常に重要になってくるかと思います。
この点、弁護士にご依頼いただければ、細かい賠償金の算出や保険会社との交渉、資料の収集など、被害に遭われた方に更なる負担がかかることのないようサポートさせていただきます。
また、弁護士は交通事故のパターンごとの過失割合や法的基準の使い方を把握しているため、保険会社との交渉を有利に進めることも可能です。
当事務所では、交通事故に遭われた方にできるだけ早期に弁護士に相談されることをお勧めしています。
まずはお気軽にご相談ください。

