交通事故の休業損害について押さえておくべき3つのポイント

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はじめに

休業損害とは、「事故によって負傷し、しばらく働けなかった」「通院のために出勤できなかった」など、事故が原因でやむを得ず休業したことによって収入が減った場合に請求できる賠償金です。

休業損害は学生や専業主婦の方でも請求することが可能な場合があるため、事故によって負傷した多くの方に当てはまる賠償金といえます。

今回は、休業損害を請求する立場になったときのために押さえておきたい3つのポイントをご紹介いたします。

ポイント①~3つの基準について~

休業損害は基本的に「1日あたりの基礎収入×休業日数」で計算されますが、算定には3つの基準があります。
それぞれの基準は以下のとおりです。

①自賠責基準

法律により加入が義務付けられている自賠責保険を利用して賠償金が支払われる際に用いられる計算基準です。2020年4月1日以降に発生した交通事故については、1日あたりの基礎収入は原則6100円とされています(2020年3月31日までに発生した交通事故の1日あたりの基礎収入は原則5700円とされています)。自賠責保険は最低限度の損害填補制度ですので、通常、自賠責基準で計算された賠償金額は、3つの基準のうち最も低額なものになります。

②任意保険基準

任意で加入した自動車保険を利用して賠償金が支払われる際に用いられる計算基準です。各自動車保険会社で独自に作成した計算基準となります。任意保険は自賠責保険でカバーできない損害を補填するものですので、通常、任意保険基準で計算された賠償金額は自賠責基準で計算された金額より高額になります。

③裁判所基準

裁判で賠償金額を計算する際に裁判所が用いている計算基準です。1日あたりの基礎収入は、事故前3ヶ月間の収入を日割りにして計算します。通常、裁判所基準で計算された賠償金額は任意保険基準で計算された金額より高額(3つの基準のうち最も高額)になります。

比較すると①自賠責基準<②任意保険基準<③裁判所基準の順になっており、どの基準を用いるかによって金額も大きく変わってくる可能性が高いです。

加害者側保険会社は、保険会社独自の計算基準である②任意保険基準を用いて賠償金額を計算し提示します。

この点、弁護士が示談交渉を行うことになれば、裁判所で認められている適正な計算基準である③裁判所基準をもとに交渉を進めていくことになりますので、②任意保険基準よりももらえる賠償金が多くなる可能性があります。

ポイント②~計算方法について~

前述のとおり、休業損害は「1日あたりの基礎収入×休業日数」で計算されますが、「1日あたりの基礎収入」の算出方法は、会社員・個人事業主・専業主婦など、被害に遭われた方の立場によって異なってきます。

それぞれの計算方法は以下のとおりです。

①会社員やアルバイトの場合

1日あたりの基礎収入は「事故前3ヶ月分の収入÷90日」で計算されます。ここでの収入とは、手取りではなく額面を指します。

②自営業や個人事業主の場合

1日あたりの基礎収入は「事故前年の確定申告額÷365日」で計算されます。確定申告を行っていない場合は、通帳・伝票・領収書などから収入を証明していく必要があります。

③専業主婦の場合

1日あたりの基礎収入は「女性の全年齢平均賃金(賃金センサス)÷365日」で計算されます。賃金センサスとは、厚生労働省が発表している資料です。なお、兼業主婦やパートの場合は、「事故前3ヶ月分の収入÷90日」と「女性の全年齢平均賃金(賃金センサス)÷365日」のいずれか高い方が採用されます。

ポイント③~計算例で比較~

では、3つの基準のうち、①自賠責基準・③裁判所基準を用いて実際に計算してみましょう。

(例1)事故前3ヶ月分の収入が109万円である会社員が交通事故により負傷し、20日間休業した場合

【自賠責基準】

6100円×20日=12万2000円

【裁判所基準】

109万円÷90日×20日=24万2222円

(例2)事故前年の確定申告額が580万円である個人事業主が交通事故により負傷し、15日間休業した場合

【自賠責基準】

6100円×15日=9万1500円

【裁判所基準】

580万円÷365日×15日=23万8356円

以上のように、実際に数字を見てみると、用いる基準によって金額に大きな差が出ることをより実感できるかと思います。

まとめ

このように、休業損害を請求する場合、どの基準を用いるかが非常に重要になってきます。

この点、弁護士にご依頼いただければ、休業損害の算出や保険会社との交渉など、被害に遭われた方にさらなる負担がかかることのないようにサポートさせていただきます。

また、弁護士は交通事故のパターンごとの過失割合や法的基準の使い方を把握しているため、保険会社との交渉を有利に進めることも可能です。

当事務所では、交通事故に遭われた方にできるだけ早期に弁護士に相談されることをおすすめしています。
まずはお気軽にご相談ください。

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