裁判に発展する可能性のある事件としては、大きく分類すると、刑事事件と民事事件の2種類が存在します。
このほか、国・市区町村等の行為の違法性などを争う行政事件・行政訴訟も存在しますが、ここでは説明は省略します。
犯罪や刑罰に関する事件が刑事事件で財産(お金)に関する事件が民事事件ということになります。
刑事事件(刑事裁判)って何?
Criminal cases

刑事事件とは、
・犯罪行為を行ったと疑われている人※が本当に犯罪行為を行ったのか、
・犯罪行為を行ったのであれば、その人に対してどのような刑罰を与えるべきか
を決める事件です。
(法的には「被疑者」と呼ばれていますが、マスコミ用語では「容疑者」と呼ばれています)
すなわち、犯罪を行ったと疑われている人について犯罪の有無と刑罰を確定する必要がある事件が刑事事件で、これらを確定するための手続が刑事裁判ということになります。
刑事裁判の流れ
公判(刑事裁判)開始
- 開始時刻前に法廷内に入り、開始時刻まで弁護士は弁護人席に着席し、被告人は、通常、弁護人席の前にある長椅子に座って裁判が始まるまで待機します(法廷のイメージ図参照)。
なお、法廷には傍聴席がありますが、法廷は誰でも自由に出入りし傍聴できることになっていますので、数名から数十名の傍聴人がいることもあります。 - 裁判の開始時刻になったら裁判官席の後ろにある入口から裁判官が入廷します。
被告人や弁護人、傍聴人は裁判官が見えたら起立し、裁判官が裁判官席に着席する前に礼をしますので、被告人や弁護人、傍聴人も裁判官にあわせて礼をします。
人定質問
- 裁判官が着席後に公判(刑事裁判)が開始となります。
裁判官から「被告人は証言台の前に立ってください」という指示がなされたら、被告人は弁護人席の前の長椅子から中央にある証言台の前に移動し、証言台の前に立ちます。
(法廷のイメージ図も被告人が証言台の前に立っている状態を描いたものです)。 - その後、裁判官は被告人に対し氏名、生年月日、本籍、住所、職業は何かについて質問をしますので、被告人はこれらについて順番に回答します。
(この裁判官からの質問の手続は人定質問[ジンテイシツモン]と呼ばれています)。
罪状認否
- 人定質問が終わると、裁判官は検察官に対して起訴状を読み上げるよう指示をし、これを受けて検察官の起訴状朗読が行われます。
このとき、被告人は証言台の前で立ったまま聞きます。 - そして、裁判官は被告人に対し「あなたには黙秘権という権利がありますので、言いたくないことは言わなくても問題ありません」などと黙秘権という権利の説明をします。
このときも、被告人は証言台の前で立ったまま聞いているだけで問題ありません。 - その後、裁判官が被告人に対し「先ほど検察官が読み上げた起訴状の内容に間違っているところはありますか」などと質問をします。
これに対し、被告人は、起訴状に誤りがなければ「間違いありません」、
起訴状に誤りがあれば何が間違っているかについて証言台の前で立ったまま答えます(このような手続は「罪状認否」と呼ばれています)。 - また、被告人の罪状認否が終わった後に弁護人も意見を述べます。
(通常、「被告人と同様です」などと述べ終わります)。 - そして、裁判官が被告人に対し「一旦、元の席に戻ってください」と指示をします。
被告人は先ほど座っていた弁護人席の前の長椅子に戻り着席します。
検察官の冒頭陳述、弁護人の証拠意見、検察官の証拠説明
- 裁判官は検察官に対し冒頭陳述を行うよう指示をします。
これを受けて、検察官は今回の事件の経緯や事件の内容について説明をします。
(この検察官による事件の説明は「冒頭陳述」と呼ばれています)。
この間、被告人は座ったままで聞いていれば問題ありません。 - 検察官の冒頭陳述が終わった後、検察官が裁判に提出する証拠について、裁判官が「弁護人の証拠意見はいかがですか」などと質問をします。
これを受けて、弁護人が検察官の提出する証拠について意見を述べます(検察官の証拠で特におかしなところがなければ「全て同意します」と答え、おかしなところがあれば「甲〇号証については不同意、その他は同意します」などと答えます)。この間も被告人は座って聞いているだけで問題ありません。 - その後、検察官が裁判に提出する証拠について証拠の内容を説明します。
甲第1号証から順を追って全ての証拠についてどのような証拠かを説明しますので、5分~10分程度かかることが通常です。
この間、被告人は座ったまま聞いているだけで問題ありません。
検察官の証拠意見、弁護人の証拠説明
- 検察官の証拠説明が終わると、弁護人側が裁判に提出する証拠について、裁判官から検察官に対し「検察官の証拠意見はいかがですか」などと質問がなされます。
これを受けて、検察官が弁護人の提出する証拠について意見を述べます(弁護人の証拠について特に異議がなければ「全て同意します」などと答え、異議があれば「弁〇号証については不同意、その他は同意します」などと答えます)。 - その後、裁判官から弁護人に対して「弁護人で証拠説明をしてください」などと指示がなされますので、弁護人において弁護人側で提出する証拠の内容を説明します。
この際も被告人は弁護人が話していることを座ったまま聞いていれば問題ありません。
証人尋問
- 被告人のご家族等に証言をお願いしている場合などには、ご家族等に対する証人尋問が行われます。証人に対して弁護人や検察官、裁判官から質問がなされ、証人が質問に答えていきます(証人尋問の詳しい流れは省略します)。この間、被告人は座ったまま聞いていれば問題ありません。
被告人質問
- 証人尋問(証人尋問を行わない場合には弁護人の証拠説明)が終わると、裁判官は被告人に対し「それでは被告人質問を行いますので、被告人は証言台の前に立ってください」と指示をしますので、被告人は再び中央の証言台の前に移動して証言台の前に立ちます。
- その後、最初に弁護人から被告人に対し質問をします。
そして、被告人が質問に答える際は、弁護人の質問と回答が重ならないように気を付け、弁護人ではなく裁判官(正面)の方を見てゆっくりはっきりと答えます。 - 弁護人からの質問が終わった後、検察官から質問されますので、被告人は弁護人からの質問の時と同様に質問に答えていきます。
- 検察官の質問が終わると、裁判官が「弁護人から再度質問しますか」と尋ねます。
もし弁護人が再度質問をする際は、被告人は再び弁護人の質問に答えることになります(弁護人が再度質問をしない場合もあります)。 - その後、裁判官が気になった点について裁判官より何点か質問されますので、被告人は裁判官の質問に答えることになります(裁判官からの質問は、通常、数点ですので、数分で終わることが多いです)。
- 裁判官からの質問が終わると、裁判官が「被告人質問は終わりましたので、被告人は元の席に戻ってください」などと告げます。その後、被告人は再び弁護人席の前の長椅子に戻り着席します。
検察官の論告・弁護人の弁論
- 裁判官が検察官に対し「検察官の論告をお願いします」などと指示をしますので、それを受けて検察官が今回の事件でどのような刑を下すべきか検察官の意見を述べます(検察官がこのような意見を述べることは「論告」と呼ばれています)。
この間、被告人は座ったままで聞いていれば問題ありません。 - ②検察官の論告が終わると、裁判官が弁護人に対し「弁護人の弁論をお願いします」などと指示をします。
それを受けて、弁護人として今回の事件についてどのような刑にすべきかなどの意見を述べます(弁護人がこのような意見を述べることは「弁論」と呼ばれています)。
この間も被告人としては座ったままで聞いていれば問題ありません。
被告人の最終陳述
- 弁護人の弁論が終わると、裁判官が被告人に対し「被告人は証言台の前に立ってください」と指示をしますので、被告人は再び中央の証言台の前に移動したうえ証言台の前に立ちます。
- そして、裁判官が被告人に対し「これで審理を終えることになりますが、最後に何か言いたいことはありますか」などと質問をしますので、被告人として言いたいこと(罪を認めている場合であれば反省の弁を述べることが多いです)を話します(被告人が言いたいことを最後に述べることは「被告人の最終陳述」と呼ばれています)。
- 被告人の最終陳述が終わると、裁判官から判決の日時(1、2週間後になることが多いです)を告げられ、その日は終了になります(裁判官が「15分後に判決を言い渡しますので、一旦、休廷にします」などと述べ、その日のうちに判決が下されることもあります)。
判決言渡し
- 指定された日時(場合によっては当日)に法廷に行き(法廷に入ってから裁判が開始するまでの流れは1と同じです)、裁判開始後に裁判官が被告人に対し「被告人は証言台の前に立ってください」と指示をしますので、被告人は弁護人席の前の長椅子から証言台の前に移動したうえ証言台の前に立ちます。
- その後、裁判官が判決を言い渡します。
判決の言渡しは、主文(判決の結論のことで、有罪・無罪や刑の重さ、執行猶予をつけるかを述べる部分です)、判決の理由(どのような理由で判決の結論を決めたかを述べる部分です)の順番に裁判官が読み上げることで行われます。
この間、被告人は証言台の前に立ちながら聞いているだけで問題ありません。 - ③判決の言い渡しが終わると、公判(刑事裁判)は一通り終了となります。
民事事件(民事裁判)って何?
Civil cases

民事事件とは、大まかに説明をするならば、一般の方同士における財産についての揉め事です。
また、民事裁判とは、一般の方同士の財産についての揉め事に関して裁判所が判断をするための手続です。
貸したお金を返せ!という例
例えば、お金を貸した人がお金を借りた人に対して「貸したお金を返せ」という民事裁判を起こした場合では、その民事裁判において、裁判所は、両者の主張や証拠を検討したうえ、
本当にお金を貸したのか、
本当に貸したお金はまだ返済されていないのか、
貸したとされるお金の金額に誤りはないか
などについて、当事者の主張や証拠をもとに裁判所が検討をします。
最終的に「〇〇円を返せ」もしくは「お金は返さなくてよい」というような形で判断を下すことになります。
貸したモノを返せ!という例
また、別の例を挙げるとすれば、物を買ってお金を支払ったのに相手が物を引き渡さないときに、物を買った人が物を売った人に対して、「〇〇(物)を引き渡せ」という民事裁判を起こした場合、その民事裁判において、裁判所は、両者の主張や証拠を検討したうえ「〇〇(物)を引き渡せ」という判決を下してよいか裁判所が判断することになります。
人を殴った加害者がいたとすれば、
その人が犯罪を行ったか、犯罪を行ったとして刑罰はどうすべきかを考えるのが刑事事件で、
殴った人が殴られた人に対して治療費や慰謝料などのお金を支払うべきか、支払うべきであるとすればいくら支払うべきかを考えるのが民事事件です。
以上、刑事事件と民事事件の違いを簡単にまとめると、
犯罪や刑罰に関する事件が刑事事件で財産(お金)に関する事件が民事事件ということになります。
刑事事件と民事事件の違い
Difference

おおよその刑事事件(刑事裁判)と民事事件(民事裁判)の異なる点についてはお分かりいただけたと思います。
では、具体的に何が違うのかについてもう少し詳しく説明していきたいと思います。
大きく異なる点は以下の2つです。
当事者
刑事事件(刑事裁判)では、警察官・検察官(検事とも呼びます)が犯罪と疑われる行為を捜査し、犯罪の証拠が見つかった場合には、検察官が刑事裁判をおこします。
そして、刑事裁判内で検察官と犯罪を行ったとして裁判にかけられた人(被告人)が互いに主張をし合うことになります(実際には、検察官と被告人の弁護人が主張をし合うことになります)。
言い換えると、刑事事件(刑事裁判)では、警察官・検察官や犯罪を行ったと疑われている人・弁護人が当事者になります。
それに対して、民事事件(民事裁判)の当事者は、一般の方のみです(なかには、個人間だけでなく、会社同士や会社対個人というケースもあります)。
和解の有無
民事事件(民事裁判)は、一般の方同士の財産に関する揉め事になるので、当事者が納得しさえすれば、それで解決します。
このことから、裁判で裁判所が判決を下すより前に、裁判の途中で和解に至り事件が終結することが少なくありません。
ところが、刑事事件(刑事裁判)の場合には、国が刑罰を与えるべきか否かを決めていかなければなりませんので、加害者と検察官・被害者が話し合って納得すれば全く問題ないとは言い切れない場合もあります。
加害者(または加害者の代理人弁護士)と被害者が話し合って納得することを「示談」と呼んでいますが、「示談」があったとしても刑事事件の場合はそれをもって終結するとは限らないのです。
ここまで、おおよその刑事事件と民事事件の違いはお分かりいただけたでしょうか。
東京弁護士法人では、刑事事件(刑事弁護)でお悩みの方に対し積極的にサポートをさせていただいております。
初回相談の際に刑事事件の基礎から説明させていただき相談者様の不安な点を解消していきたいと思いますので、疑問点があれば遠慮なくご質問いただければと思います。
